大神

大神(OKAMI)

大神(OKAMI)

このゲームは発売直後に購入して夏頃にはクリアしていたのだけど、レビューしたいと言いながらうまく文章がまとまらず、グズグズしていたら開発元のクローバーが解散してしまうと言う自体に。BEST版の発売から日にちも経ち、何もかもが今更なのだが感想を書いておこう。
僕が趣味以外のゲームを買うときは大体、ゲームで遊ぶこと自体が目的になっている状態で事前に入念に評判を調べるのが常なのに、このゲームに限っていえばTVCMを偶然見て衝動買いした。筆で描いたような世界を駆け回って、筆で世界を描き換えていく映像の衝撃は凄まじかった。

ストーリー

日本の神話民話を基にかなりの脚色を施した冒険活劇。
主人公は狼の姿をした大神、アマテラス。白い毛皮に隈取りを施して、メラメラ燃えてフワフワ浮いてる銅鏡を背負った「偏ったルックス」なのだが、力を失っているため一般人にはただの白い犬にしか見えない。100年来の宿敵ヤマタノオロチを倒すため、力の源となる人々や自然の幸(さち)を取り戻し、失われた世界の色彩を蘇らせるのが目的。

ゲームシステム

「ネイチャーアドベンチャー」と言うよくわからないジャンルが銘打ってあるが、基本的にはアドベンチャーで、3Dフィールドを移動しながらシナリオを進めていくタイプ。戦闘パートはごく簡単なアクションで、シンボルエンカウントでフィールドが閉鎖され戦闘になる。リアルタイムにレンダリングされる筆で描いたような風景に最初は戸惑うが、すぐに心地よくなる。アマテラスが走った跡には茂みが連なったり、妖怪を倒すと花が咲いたり、シナリオを進めるためにフィールドを駆け回るだけでもかなり楽しい。
もう語り尽くされている部分ではあるが、なんと言っても「筆しらべ」がこのゲームの肝。筆を使って世界を描き変えていくと言うとDSやWiiでもないのにどうやるのかと思っていたが、簡単な記号を描くだけなのでアナログスティックでもそれほど難しくはない。簡単とは言え自分の筆跡が実際にゲームの世界に干渉する様は予想外に面白く、特に「大神おろし」でフィールド全体が浄化され花が咲き乱れていくシーンは圧巻。

ネタバレ

最後の戦闘では、すべての力を失った主人公が旅で出会った人々の祈りによって再び力を取り戻す、と言う王道が展開される。感心したのは、王道のための理由を仲間意識で取り繕った根性論やあるいは舞台装置の仕組みに還元してしまわず、ある意味開き直って主人公はそういう存在であると最初に言い切ってしまっている点。
そして、祈りが嫌味にならない人々の造形は見事。ゲームが終わっても、この人々の住む世界を走り回っていたいと思える。


多分続く。