Lion感想

Mission Control

仮想デスクトップ機能として一般的な実装であるSpacesがMac OS Xに搭載されていたのはLeopardとその強化版であるSnow Leopardのごく短い間だったと言う事になる。フルスクリーンウインドウのAPIを整備するのに手を入れるのは必然だったとは言え、Appleの天の邪鬼っぷりが伺える。
どちらかと言うとフルスクリーンなアプリケーションを主に使っているので、呼び出した際に必ずデスクトップのある画面が中央に来るよう設計されているあたりが違和感の元になっている。

Launchpad

多分Mission Controlとは独立して実装が進められていたのだろうけど、Dashboardと同じ位置づけにすべきじゃないかこれ。

フルスクリーンウインドウ

Mission Controlでの扱いといい未完成な印象が否めない。特にiTunesは何かの拍子に表示されていないDockの幅だけ縮んでフルスクリーンを解除するまで戻らない状態になってしまう。イベントをフレームワークに任せず自前で処理しているのか。

デスクトップ

Macのデスクトップにはウインドウ配置領域としての機能とファイル置き場としての機能があり、Spacesの機能的な互換であるMission Controlは主に前者を対象としていて、ピンチアウトのジェスチャは後者を対象としている。フルスクリーンウインドウの利用中はピンチアウトのジェスチャが無効になるのが曲者。Mission Controlとしては独立した単位になるので当然なのだけど、常に有効なLaunchpadのピンチインと対になるジェスチャなので、ここが場合によって無効化されるのはあまり望ましくない。
そろそろ、ファイル置き場の機能は整理した方が良さそうに思うのだけど、こればっかりはClassicからの「伝統」なので難しいのだろう。

スクロール

慣れの問題と思ってされるがままにしていたら、下手に慣れ始めたせいで他所で使うWindowsマシンのスクロールホイールを無意識に「ナチュラル」な方向へ回してしまうようになった。

メモアプリ

どれもiOSのユニバーサルアプリとしてクライアントをリリースしているサービスなんだけど、SimplenoteとSpringpadはiPadでキーボードを切り替えると編集内容の表示領域が上の方へすっ飛んで行く愉快なバグがあった。Evernoteはと言えば、編集画面がモーダルビューなので切替の影響は無いようだ。
結構前からあるバグで、こちらがフィードバックした際に貰った返事では認識はしていたようだったのだが、ここしばらくのアップデートでは放置されていた。二つのアプリで全く同じ現象が再現される事を考えると、どうもOS側のキーボード切替周辺に問題がありそうな気がしていた。
以上の文章をまさにiPhoneのSimplenote上で書いている途中でSimplenoteとSpringpadのアップデートがあり、修正された。Simplenoteは仮想キーボード分だけ画面を詰める形式で、Springpadはモーダルビュー形式で対処してきた。「メモ」と同じ形式では厳しいのか?
iOS4では「メモ」にもOTA同期機能が付くので、もうそれで十分かも。Spotlight検索もできるようになるし。

余談

Dropbox系のメモアプリは何故か多い。
PlainTextも使ってみたけれど、仮想キーボードへの対処はSimplenoteと同じだった。

今更Automator

本当に今更。
MobileMeとの同期をする上で、ブックマークレットが結構邪魔になる。だからブックマークレットを置いておくだけの拡張が作れないかとぼんやり考えた末、いくつかのブックマークレットAutomatorでサービス化してしまった方が汎用性も高まる事に気付いた。もちろん、AppleScriptその他への移植が必要になるけど。
いくらかブックマークレット代わりのサービスを作ってみての感想は、これはあくまで自動化ツールであってプログラミングツールではないと言う事。名前からして当たり前なんだけど。
アクションとしての条件分岐処理は存在しないし、繰り返し処理も先頭に戻るだけの本当にシンプルなもの。変数はあっても参照できる場所は非常に限られている。つまり、一つの項目に対する一連の処理を複数項目に対して順次繰り返すと言った記述は不可能*1
Automatorアクションをスクリプトで記述するコツとして「リストを飲んでリストを吐く」事を意識すればいいのではないかと、何となく思う。変数その他を駆使してアクションの組み合わせでプログラミングしようとするよりも、プログラミングはスクリプトでやってしまった上で、アクションの配置はリストの流れの整理として考えた方が、スクリプトの粒度も全体の見通しも良くなる気がする。

*1:変数のUUID参照を使えばどうにかなるかも知れない

Adobe Photoshop Express

意欲が無い*1訳ではなさそうだった。
IdeasがiPad版リリース後のiPhone版リリースだったのに対して、こちらはiPhone版のアップデートによるユニバーサルバイナリ化。*2
それからRetina非対応。標準APIを利用していると思しき部分はちゃんと高解像度表示なので、ひょっとしてAdobeが独自でライブラリ化しているであろうピクセル操作周りがネックになっているのではないか。
Photoshop.comへの登録はせずとも編集機能は利用できるし、iPhoneiMovieはあるけどiPhotoは無いから、補正用にインストールしておいて損は無いと思う。

*1:id:eccoHowling:20100807

*2:同じ名前のソフトがユニバーサルではなく別アプリとしてリリースされる事は珍しくないから何も言わなかったけど、こうなるとIdeasもユニバーサルバイナリにして欲しいところ。機能が違う訳でなし、別料金を取る訳でもなし、となればiTunes上で二つもアイコンが並ぶ必然性は無い。

Adobe Ideas

米国アカウントを取ってまで試す必要性は感じなかったのだが、日本ストアでも公開されたのでダウンロードしてみた。
アプリの機能自体は後発組も出そろっている今となっては色褪せている。特に曲線の生成が一瞬遅れるのが難点。かろうじてカラーテーマ機能に独自性が感じられる程度か。
UIは独自のコンポーネントで構成されており、iOSの作法を取り入れようとした意図は感じられる。特に支障を来すような場面はない。
最大の不満は、iPhone 4の高解像度表示に対応していない事。いくら何でもお絵描きアプリでこれは厳しい。
つい例のFlash騒動の余波を邪推してしまいたくなるが、Flashに限らずAdobeとしてiOSへコミットする意欲はもう無いと見るべきか。